「フッ、いきなり私をベッドに連れ込むなんて、今日は随分と積極的だ」
「はあっ!?」
「君だって期待しているんだろう?」
 そう言いながら、東雲は蕾の頭に手を伸ばし、怪しい手付きで蕾の髪をサラサラと梳く。
「何の話だ」
「とぼけたって無駄だ、東皇使である私には通用しないよ。 さあ、ごちゃごちゃ言ってないで、もっとこっちへおいで」
「お、おい、ちょっと、東雲……おわっ!」
 問答無用で東雲にぐいっと腕をひかれた蕾は、思わずそのまま東雲の胸に倒れ込んでしまった。すぐに顔を上げて猛烈に抗議する。
「何をするっ!」
 しかし、対する東雲は、蕾がついぞ見たことのないような不気味な笑みを浮かべている。
「何を、だなんて野暮なことを聞かないで欲しいな。 ベッドの上で二人ですることなんて一つしかないだろう」
「へ?」
 思いがけない東雲の言葉に、蕾はキョトンとしてしまう。
 子供の頃は確かに東雲と一緒に寝たりもしていたが、二人ですることなどあっただろうか?と、遠い記憶を探る蕾が完全に無防備になった、その一瞬が命取りだった。
 いつの間にか器用に身体を反転させた東雲に、蕾はがっちりと組み敷かれてしまっていたのだ。
「君のそのオクテぶりにもそそられるけど、あまりに焦らされるのはかえって興醒めだよ」
「おっ、おまえは、さっきから何を言っておるのだっ! とにかく、さっさと退かんかっ」
「今更、逃げようったってそうはいかないよ。 さあ、いい加減、正直に認めなさい」
 東雲の有無を言わさぬ妙な迫力に、百戦錬磨の御大花将が思わずたじろいでしまう。
「な…何をだ」
「強がっていても、本心では私に征服されたいと思っているんだろう」
「あん?」
 その意味を蕾が把握する前に、東雲は行動を開始した。
「!!!」
 いきなり蕾の頭を抱え込むようにして、その唇を奪ったのだ。しかも、奥深くまで舌を侵入させあっという間に蕾の口内を余すところなく蹂躙していく。
 東皇使の本領発揮、といったところだろうか。ワケのわからないままにその餌食になって、宣言通り(?)口内を着々と征服されている蕾はたまったものではない。
 だが、東雲の技巧に翻弄され酸欠で意識が朦朧となってはいても、そこは、さすがの御大花将。
 東雲の手が蕾の腰骨付近で怪しく動きだすや否や、反射的に見事な反撃を見せた。

 ガツンッ、ドカッ、ボコッ、バァキィッ!!!
 むろん、蕾が本気で抵抗すれば、東雲など物の数ではなく。

「馬鹿も休み休み言えッ。 オレに勝とうなんざ百万年早いわっ!」
 蕾がそう叫んだ時には、すでに東雲は再び意識を失っていた。



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