さて一方、透たち一同はというと。
ほどなくして目覚めた薫はすっかり元に戻っていた。
南天酒に酔っていた時の行動については全く覚えておらず、
「はて、私はなぜこのような所に……。それに、香候王と理拝教授まで下界に来るなど、何かあったのですか」などとノンキに不思議がっている。だが、すでに夜も更けており普段の薫ならとうに就寝している時間だったため、すぐにまたグッタリとなってしまった。
とりあえず最大の問題が解決してホッとした一同は、次なる懸念事項の結果を見届けるため、フラフラしている薫を連れて、透のマンションへと急ぐ。
そして一行がちょうどマンションに到着してドアを開いたまさにその時、「バキィッ!」という凄まじい破壊音とともに鼓膜を突き破るような蕾の大声が響いてきた。
恐れおののきつつも駆けつけた面々が見たのは、部屋の中央で怒りを露わに仁王立ちする御大花将と、ボロ雑巾のように床に伸びている東皇使の姿だったという。





その後、東雲は蕾によって手足と口をグルグル巻きに拘束され、一晩放置された。翌日にはすっかり正気に戻ったのだが、やはり南天酒に酔った間のことは何一つ覚えていなかった。
透によると、南天酒を飲んで気絶した東雲を蕾がマンションへ運んでしばらく二人きりだったということだが、そこで何があったのかは透でさえ教えてもらえないらしい。
ただその話題が出るたびに恐ろしく不機嫌になるという蕾に、東雲はおぼろげながら己の所業を悟った。
南天酒を飲ませて従順になった蕾にあれやこれや…などとささやかな悪戯を目論んでいた東雲だったが、それからしばらくの間は、蕾と口を利くことはおろか、視界に入ることすら許してもらえなかった。
どう考えても自業自得の東雲。
南天の「難を転じる」ならぬ、「難に転じた」結末となったが、此度の件でもっとも被害を被ったのは東雲ではなく、その衝撃的な変貌ぶりを目の当たりにし、まともに毒気を浴びる羽目となってしまった蕾であろう。
<END>
一応、誤解のないように言っておきますが、管理人の東雲への愛にはこれっぽっちも揺るぎはありません。