今更ながら、BUDに再萌えをするきっかけとなった空心鳥のことを語ろうと思って何気なく読み返したら、今までまったく気付いてなかった、プチ萌え箇所を発見しました。
最初のページに作品紹介があるんですがその中の一文(こういうのは編集さんが書くんでしょうか)、「(蕾は)透のマンションに身を寄せながら、やはり、人間界に留学していた幼なじみの緑仙・東雲とともに楽しく暮らしていたのだが…」。
ここですごい妄想が……あ、いえ、大丈夫です、わかってます。東雲とともに《事件を解決したりしながら、蕾は》楽しく暮らしていた、程度の文意だとはわかってるんです。
でも、でもこれって。話の内容をすっかり忘れた状態でこの紹介文だけ読んだら、「東雲とともに楽しく暮らす」って、まるで透のマンションで、蕾と東雲が間借り同棲してるみたいじゃないですかぁっ!?
ないですね……すみません、ちょっとどうしても言いたかったんです。
というわけで本題、に入る前にもう一つ小ネタを。
東雲が采徳王に言った「心配なく(中略)蕾に伝えておきますよ」。この台詞がすごくじわじわキます。もちろん東雲は深い意味があって言ったわけではないのでしょうし、采徳王も言葉通りにとったと思います。
ただ、これも深読みしてしまうと、なんというか、心配しなくても私に話したことはちゃんと蕾に伝わりますから大丈夫ですよ、または、蕾と自分はなんでも言いあえるとても深い仲だから安心してください、みたいな、恋人扱いというか一心同体的な感じが、無意識な台詞の中にもすごくよく現れてるんじゃないかな〜と(笑)。この台詞を言うときの東雲の横顔がまたとってもステキ♪ あの満ち足りた穏やかな笑顔は、和さまへの笑顔というより、蕾の話題で思わず溢れてしまった愛ゆえではないかと思うんですが、どうでしょう。
閑話休題、ようやく本題です。
空心鳥といえば、蕾の玉帝に対する心の動きが軸になっているわけですが。
もともと東雲は、百花宴での「アフターケア」からもわかるように、蕾がものすごくファザコンで父親に会いたがってるのをそれはもうよーく知ってるし、記念すべき父との初邂逅でいきなり殴られて説教された(呪久歌)のも知ってる。
だからということもあるのでしょうか、この空心鳥では特に、蕾の玉帝への思いというか、複雑な胸の内を、東雲はホントにわかってるよな〜と感じます。玉帝と大皇との関わりを知って古文書を見ながら心配するシーンなんて、それでこそ東雲って感じで。まあ、その苦労性なトコがあまり報われてないのも彼らしいですが…(笑)。
蕾も、本編では、吹く風に玉帝を思い出しても心の中でだけで、誰かに話を振られれば淡々と話す(海南風とか)くらいなものでしたが、空心鳥では東雲に対して、意外なほど素直に父親への心情を吐露しています。
初めの方の「なるほど、風の化らしい」とかそうだし、その後に「ムシャクシャしてきた」って東雲に八つ当たりするシーンなんかも、まあ要は甘えてるんですよね。東雲の前でだったら、父上の事を考えてることも、それでイライラしてしまうのも、素直に(?)さらけ出せるというか。
そして圧巻が、玉帝の罪を知った後の蕾を東雲が見つけにくるシーンでの「オレはバカだが〜」の台詞。これが、もうね〜。こういう事って、蕾は東雲以外の人、たとえば薫とかにも絶対言わないと思うんです。次のページで「落ち込んでいたのがアホらしくなった」と言ってますから、珍しく自覚するほどにかなり落ち込んでいたんです。他人に言うようなことではないけど、でも、ちょっと口に出してしまいたい、東雲になら言ってもいいかという感じで、唯一(ここ大事)本音の弱音を吐ける相手こそが東雲なんですよ!
東雲はもちろん蕾が相当に落ち込んでいるのが分かったでしょうが、それでも(だからこそ?)、あ−ゆー態度を取っちゃうのがね〜。もうちょっと親身になって優しく慰めてあげればいいのに〜とも思いますが、でもそうしたらそうしたで、きっと蕾は逆に強がって「やっぱりなんでもない」って平気なフリをしてしまう。さらにあとで「なんで東雲にあんなことを言ってしまったのか、言わなきゃよかった」なんて考えて、ちょっとガードが固くなるかもしれない。それは東雲の望む所ではないでしょう。
深刻に心配するような素振りを見せず敢えて軽く返してやることで、蕾が東雲に弱音を吐いてしまったことを気に病まないように、これからも東雲には本音を垣間見せてくれるように、そういう意図が見え隠れするような気がします。
あと、蕾も東雲が自分のことを心配してるのは勿論よく分かってるから、断片的にでも自分の気持ちとか状態とかを伝えておきたいというのも、少しはあるんじゃないかな〜と。でも、東雲にあまり大げさに反応されるのは気恥ずかしいしどうしても照れがあるので、東雲のあの態度には、きっと内心ホッとしてるに違いない、と思うのは深読みしすぎでしょうか…。
あのシーンの二人のやりとりを見てると、どっちもちゃんとお互いの内心を分かってる上での予定調和的な息のあったじゃれ合いっぽくて、とてもほっこりとします。
あとは最後の「困った性質だ…が…… …父上も似たようなのだな」。これがまた〜〜〜w
この話の流れで、唐突に自分から父のことに触れるというのも、やはり東雲の前ならではでしょう。
また、蕾はあんまり普段こういう勿体ぶったような言い方はしないで、話すと決めたらズバっとハッキリ考えを口にすることが多いです。でも、この最後の台詞は「…が……」で、言おうかどうしようかという若干の逡巡が見えません?一応、今回の件で蕾の中では結論が出たというか、父に対するスタンスがなんとなく「困った性質だが、それが風だというのならばまあ仕方あるまい」という感じで落ち着いたから、これも、一応東雲にだけは言っておこうかな、みたいな。
東雲が「えっ」ってなってる所をみると、東雲もまさかここでこの話題がくるとは思わなかったんでしょう。まあ、そのあとは蕾もやっぱり急に恥ずかしくなって(「あーくさくさするっ」では、確実に顔が真っ赤になっているハズw)、東雲に何か言われる前にすっ飛んでいってしまうわけですが。
とまあ、初めて読んだ時にはあまり気付かなかったりスルーしてた所が多いんですが、読めば読むほど、蕾のファザコンっぷりと、それを間近で見守る東雲の、なんとも味わい深いやりとりが楽しめるのが「空心鳥」の醍醐味かな〜と♪
(2010.3.27)
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