言葉づかい



 さて、記念すべき新年一発目、そして通算十回目となります語りは、ちょっと違う切り口から。 といっても、結論はいままでと大差ないです…。

 まずは軽く、東雲と蕾、それぞれの言葉遣いなど。

 東雲は普段は基本的に丁寧な話し方をするから、たまにそうじゃないとおッと思います。
 たとえば、「秘迷言」の最初の方、畏界の使者がやってきたときの「何者…ッ」。ステキですw。あとはなんでもない時にでる、身分の高い人特有な感じの命令しなれた口調がとってもナイス。侍従とかに「お前たち」って言ってるのを見ると、侍従になりたいとか思ってみたり(笑)。月朶に話す口調も全般にそんな感じだったし、樹精や花精に話す時もそう。 「逢瀬岬」で浜松公に言った「ちと、ものを尋ねたい」「探しているのだが」なんかは、まさに蕾口調ですねw
 あとは少し違いますが、田科研究所関係の人とかと話す時の「僕」。 東雲初登場の時の英子との会話を今あらためて見ると、その若作り(?)っぷりに頬が緩みます。 クラスメートにさえ「私」な東雲が、英子や教行にはちょっと高校生っぽく話すのが可愛いなぁ

 蕾は逆に普段が偉そうな口調だから、そうじゃない時が新鮮。 五百重に対してとかは、意識せずにかなりちゃんとした敬語を使いますよね。 空心鳥とかでもけっこう丁寧な言葉を使う機会が多かったです。パパに対する挨拶とか。 一方で、大皇への「恐悦に存じます」なんかは立場上仕方なく、という嫌々感がものすごくでていて、これがまた何ともw

 というわけで、ようやくここから本題に入ります。

 東皇使の方が御大花将よりも地位は高いはずなんですが、二人の間で普段はそれを意識しているような所はまったくありません。
 東雲の前でなければ、かの「禁色戒」の名シーンで、「東皇使さまのお命だけは」とか「大切な方になる」とか、必死で大皇に言い募るステキな蕾が見られますが、いざ本人の前では、照れもあってなかなか言えないんだろうなあ、と思っておりました。
 が、そんな中で特筆すべきだったのが、「寒武式」で四方室侍の文書を東雲の庵に移すと言った時の、花士達への指示「おまえたち、運んでさしあげろ」。 たぶん、これが紫士や橙士とかに直接指示するんだったら「運んでやれ」って言うと思うんです。 でも、運んで「差し上げろ」。省略されている部分を補ってみると「(東皇使さまの庵に)運んでさしあげろ」。 さらっと普通に書かれてる台詞なだけに、ああ、彩八将とか蕾達の関係を良く知ってる人達以外には、本人の前でも東雲に対してナチュラルに敬語が出るんだな〜となんだか妙に嬉しくなったツボでした。
 あと、「呪久歌」で東雲が錦花仙帝のお見舞いにきたシーンの蕾の台詞「東皇使さまがお見舞いにみえているのです」。「東雲が見舞いにきているのです」くらいかと思いきや、「東皇使さま」が「みえて」いるのです。大人バージョンな蕾にそんなこと言われちゃったら、もう…うはぁw。
 東雲ファンの自分としては、ささやかながらも萌えポイントです。
 さらに、いずれも東雲自身への言葉ではないとはいえ、東雲がそんな蕾の口調をごく当然のこととして受け入れてる、というか意識すらしてない感じからすると、蕾も一応TPO次第で東雲本人にも普通に敬語を使うことがあるんだろうなあ、と妄想が膨らみます。

 さて、「春指南V」(また…)で、出立前の東雲が蕾に言った最後の台詞が「そんな口がきけない相手になってくるよ」だったわけですが、そんな所も実に東雲らしいというか、何というか…^^;
 まあ、十中八九、というかおそらく百パーセント、東雲がどんなに偉くなろうと、蕾は基本的に普段の言葉遣いを変えたりしないと思います。上記の例のように、公の場というか、しかるべき所では相応しい言葉遣いをするけど、二人きりの時とか、気の置けない人達の前では、まったくこれまで通り。
 東雲だってそんなことは百も承知なんだろうけど、それでも、こういうことを言ってしまうのがまた何とも…。

 東雲のこういう態度を見てると、なんだか森○千里の名曲「私がオバさんになっても」を思い出します(っていっても、ひょっとして最近の人はこの歌を知らないかしら…;)。
 歌詞を要約すると「今はラブラブであなたも優しいからいいけど、いつか私がオバさんになっても今と同じように好きでいてくれる? 私がオバさんになっても同じようにデートに連れてってね」。信じてるけどちょっと不安、本当に大丈夫なのよね?という感じ。きっぱり否定して欲しいからこそ、あえて不安要素である「オバさんになっても」を連呼してしまうという、可愛らしい女心です。

 さあそこで、これを東雲の場合に置き換えてみましょう。東雲がことさら地位の格差を強調したがるのは、「今はこんな風に遠慮のいらない間柄だけど、私がものすごく偉くなっても君は変わらないでいられるかい? どんなに二人の立場が隔たっても、いつまでも君のその憎まれ口を私に聞かせてほしい」という想いの裏返しなんじゃないでしょうか。
 この先、東雲が緑修天司になったら、もしかしたら蕾と疎遠になって少しよそよそしくなってしまうかもしれない。そんなことはないとは思っていても、でもちょっとだけ不安だから、ついつい確かめたくなる、みたいな。
 東雲が「そんな口がきけないようになる」って言えば、蕾は「なんだと、ふざけるな!」とかってムキになって反発するハズ。東雲はその反応こそを求めているんじゃないかな〜と思うわけです。

 だけど結局、「春指南V」の最後では、蕾はそんな反応ではなく、もっとストレートに「オレの中におまえだけの場所がある」という答えをくれたわけです。
 この場面を見るにつけ、蕾は、東雲の想いや不安なんかもちゃんと分かっていて、その上で、絶対変わらないぞ、と言ってくれたんだろうなあと。
 そんな風に考えると、こんなに寒い毎日でも、なんとなく身体の中からほっこりと暖か〜くなってくる気がしますw



(2010.1.14)

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