春指南Vを読んで(その3)



 まだ語るのか、と言われそうですが、ええ、語りますとも。さすがに、ちょっとテンションは落ち着いてきましたが、何度も何度も読み返していると、またいろいろと出てくるんですよね。なので、読後直後とは、結構、解釈が違ってる所もありますが、まあ、それはそれ。それだけ、いろいろ深読みできてしまう、ということでノープロブレムでしょう。読む時の自分の心境とかによっても変わりますしね。

 二人で飲み交わすシーン。東雲が飲む所を初めて見ましたが実にイイです。特に「ずいぶん拍子抜けしてしまったよ」の東雲はステキすぎです。表情とか、杯を持つ手の形とか、ちょっと崩した襟元とか、東皇使フェロモンとはまたひと味違った色気が…w。
 蕾が最初からハイペースなのは、ちょっと景気づけというか、言いにくいことを言おうという心構えをしていたからでしょうね。シラフで言うにはちょっと無理があるので、とりあえず、がーっと飲んでおこう的な。で、ほどよく酔いも回って舌も滑りやすくなってきた所で、「なあ…東雲」とくるわけです。
 「…何があっても…変わらないぞ…」ってよくよく考えるとスゴイですよね。そこだけ聞いたら結婚式の誓いの言葉じゃないですかw。
 春指南Uで、東雲が蕾に萌葱ちゃんを押しつけようとしたこととか、東雲が「すっかりお別れするつもりだった」事への抗議というか。おまえが物理的にも心理的にも距離をおこうとしても無駄だ、オレの前からおまえが何年いなくなろうが、オレはおまえから離れるつもりはない、っていうキッパリとした蕾の宣言。
 そしてまた、あの台詞は、東雲の三年前の告白に対する返事ということにもなるのではないかと。ということは、やっぱり蕾も、東雲の「君の幻が忘れられない」なんていうのはただの逃げ口上で、東雲は今の蕾が好きだ、ということをとっくに気付いている。それを承知の上で、「関係は変わらない」「近づきも遠ざかりもしない」と言ったのは、今はおまえの気持ちには応えられないが、おまえはオレをずっと好きなままでいろ、百年でも千年でもオレを諦めるな、ってことじゃないでしょうか。蕾、男前だなぁ。そして東雲、生殺し…^^;
 蕾は、完全に東雲が蕾を好きだという前提で話してるし、「…千年経とうと…な…」「………」のあたりから東雲にもそれがわかった。でも、東雲は正式に(?)蕾に告白してるわけではないし告白するつもりもないから、なんとも答えようがない。で、「…酔ってるのかい?」ぐらいしか言えないわけです。まあ、これは蕾が初めて自分達の関係に言及した事自体についても言っていると思いますが。まさか、蕾がそんな風に自分達の関係について考てくれてたなんて、そしてそれを口に出してくれたなんて、という。ポーカーフェイスの向こうでは、言葉の意味についていろいろ考えているんだろうなぁ。
 そして、その後の蕾の一瞬のあの表情w いろんな所で話題になってましたが、ほんとにイイですよね〜。蕾のあの表情には、最後になってもおまえはオレに正面切って告白する気はないのか、オレはとっくにおまえの気持ちを知っているのにおまえはまだシラを切るつもりか、というちょっとしたガッカリ感というか寂しい感というか、はたまた、おまえはそれでいいのか、という物足りない感というようなものが伺える気がします。まあ、相変わらずかなり穿った見方ですが…。
 でも、まあ、おまえがそうしたいというなら仕方がない、「そういうことにしといてやる」という感じじゃないかな〜と。

 二人で一緒に笑い合う、これも初めてですよね〜。ほんっとに二人とも屈託がなくて楽しそうで、見ているだけで嬉しくなります。
 「無頼風」の最後で東雲が「蕾が声あげて笑った」って驚いてたことからも、昔から、蕾は東雲といるときにあんな風に笑うことはなかったんでしょう。東雲もしかり。微笑んでる印象が強いし、透や蕾をからかうために大口開けて笑うことはありますが、あんな風に肩震わせながら心底おかしそうに笑ってるのって初めてではないでしょうか。
 いろんなわだかまりだとか意地だとかがスッキリなくなって、ただただ楽しい時間を共有している、っていう感じの二人が幸せそうでたまりません。

 そして、宴の後、東雲の「…ありがとう…」。
 これまた意味深というか、何に対してのありがとうなのかという話。殴らせてもらえたんだったら、それに対してってことになのるでしょうが、結局、殴れてない。では何?と考えると、蕾が最後に来てくれたことに対してというのもあるでしょうが、やはり、前述の蕾の言葉に対するものではないかな、と思います。
 ただ結局、東雲は、蕾の言葉を「これからもイイお友達でいましょうね」的な意味合いが強いと捉えたっぽいですね。そういう虚脱感というか哀愁(笑)が、ありがとうの前の「………」と溜め息と後ろ姿と「次に会うときは〜」の表情に表れてます。
 で、それを察した蕾が、なんだおまえはどうしてそうなるんだ人の話をちゃんと聞いてなかったのか仕方ないヤツだな、という感じで、オレの中におまえの場所もちゃんとあるんだからもっと自信を持て、と。

 ここで、東雲がハッと気付いてくれたようなので、一安心w。

 それでこそ東皇使さま。そこまで言われて引き下がったら男がすたるってなもんだろう(@やじさん)、ってことで一念発起して、修業を速攻で終わらせてさっさと蕾の所に戻ったと。
 蕾の最後の言葉がなかったら、いくら8年くらいで規定のカリキュラムが終わっちゃったとしても、勉強熱心な東雲のことですから色々オプションつけたり自主的に課題とか見つけて、もう少しじっくりと、それこそ20年くらいは修業してたんじゃないかと思います。
 だって8年って……アナタ、なんのために修業に行ったんだか(笑)。



(2009.11.27)

 | 語り部屋に戻る | 




Copyright(C)2009 KARIHO. All rights reserved