さてさて……なんと一年半ぶりの語り。
なんとなく、今までちゃんと考えるのを避けてきたんですが、以前、コメントでリクエストいただいたこともあって、サイト2周年を機にちょっとここらでじーっくりと考えてみようかな〜と思い立ってみました。
ああ、でもすごく長くなっちゃった…なんか、いろいろスミマセン
※注意※
あくまでもいち東雲ファンにして、しのつぼ至上主義者の非常に偏った意見ですので、第九皇子ファンや蕾ファン、特に「蕾→第九皇子」もありよね、というような方には、かなり納得いかない内容も含まれるかもしれないことをくれぐれもご了承ください。尚、読んでしまっての苦情は平にご容赦願いますm(_ _)m
そもそも、蕾が第九皇子を訪ねるようになったきっかけはもちろん東雲で、そのことは「秘迷言」の蕾のモノローグに明記されてます。
「もしもあれが東雲(おまえ)だったら――そう想うと……放っておけなかったなんて」。
ものすごい素直な独白というか、ほぼ告白です。そんなこと東雲に言ったら多分思考停止するぐらい喜ぶでしょう(主に私が)。
「禁色戒」で一瞬見た姿が気になった、ということなのでしょうが、果たしてそれだけでしょうか?
「双子のかたわれ」「東雲と同じ姿…同じ声」要するに東雲の半身だからこそ、これほどまでに気になってるんですよね? 蕾のシャワーシーンで、「禁色戒」の時の東雲の様子を思い出してることからも、あの時の東雲の取り乱し方がとにかく蕾にとっては衝撃だったんじゃないかな、と思います。
頭が良くて冷静沈着で将来も約束されているあの東雲が、まさか自ら畏界に行くと言うなんて。「禁色戒」の「自分の言っていることがわかっているのか」という台詞にもよく現れていますが、蕾にとって信じられないような東雲の行動だったのでしょう。
そんなわけで、最初は間違いなく東雲のためでした。
畏界に沈められたのは私かもしれない、と悩んでいた東雲に対して、第九皇子の置かれている状態を見ておきたい、というか、いつかまた東雲がそのことで苦しむようなことがあったら適切に対応するために。彼が畏界でどんな風に過ごしているのか、どんなことを考えているのか。まあもちろんそこまでキッチリ自覚していたワケじゃないでしょうが。
蕾自身「いったいオレはどうしたいんだ」と戸惑っていますから。
「秘迷言」で、蕾が再三にわたって第九皇子に告げている「望みを言って欲しい。望むことは何でもする」。
第九皇子に対してだけでなく、東雲に対しても、蕾の行動原理はこれに尽きるんじゃないかと思います。蕾が東雲に対してこんなことを口に出すことは決してないでしょうが、この言葉こそが蕾の真骨頂。
自分のためにいろいろしてくれる東雲のために何かをしてやりたいけど、東雲も自分の望みなど言わない性質なので、何をしてやればいいのかわからない。そんな東雲が初めて見せた、弟皇子へのどうしようもない思いとやりきれない罪悪感、のようなもの。これを払拭してやれないだろうか、と蕾が(無意識にしろ)考えるに至ったとしても不思議はないでしょう。
弟のためなら一緒に永遠に畏界に行ってもかまわないという、それほどの思いがありながらも何もできない東雲の分も、自分が第九皇子を何とかして救ってやりたい、そうすれば東雲の心も少しは軽くなるかもしれない、という思考の流れが根底にあったんじゃないかな〜と思うわけです。
ただ、ここで問題になるのが、その手段。けっこうな禁忌を侵してる自覚はある。薫や東雲に知られれば、ものすごく心配をかけること請け合いです。
「そんなふうに微笑まないでくれ…その貌で」という独白もそうですよね。東雲の顔でものすごく嬉しそうな表情をする第九皇子に対して感じる、いたたまれなさ、というか。自分自身なぜ彼を放っておけないのかわからないし、単純に第九皇子のためだけに訪れているわけでもない気がする。東雲を裏切っているような感覚もある、のに、第九皇子は蕾がくる事を手放しで喜んでくれる。そこら辺かなり複雑な心境だったのではないでしょうか。
まあ、そうこうしながらも次第に第九皇子との交流を深めていくわけですが。
問題のあの夜です。
何かにおびえている第九皇子を見て、その憂いをオレが取り払ってやる、とようやくある種の明確な目標が生まれたわけですね。
「なにかあるなら頼って欲しい。オレにできることは何でもやる。望みをかなえてやる」
ただ、次の約束さえ受け取ろうとしない第九皇子がそう簡単に蕾を巻き込むハズがありません。好きな相手に負担をかけない、期待しない、自己完結してしまう、というスタンスがやはり東雲と双子なんだな〜とつくづく思います。
そして、そんなこんなで東雲にバレました。ただ、バレた時点でまだ上述のように「東雲だったらと想うと〜」と思ってますので、もしもあれが儀式の間近でなく第九皇子の様子にも特段の変化がなかったとしたら、もしかするとそのまま行かなくなってたかも……うーん、微妙。
んで、なんだかんだあって、結局、大皇が出てきちゃって「で、そなたが救いたかったのは贄の皇子か、東皇使か」なんて言われちゃいます。さすが怪魔の王たるこの人は、人が嫌がるポイント、最も触れられたくない所を的確に突いてきますね〜。しかも第九皇子の目の前で。解説付きで。
蕾、焦る。ってか、ここでの蕾のこの反応を見ても、やっぱり蕾も、心のどこかで「東雲のために、東雲の双子のかたわれを救いたい」っていうのを自覚してて、第九皇子に対して若干の後ろめたさがあったということが明白な感じです。
さて、そして東雲と蕾が二人地上に戻り。
東雲が「お願いだから、私にできることをさせておくれ」「私には何もできないのかい」って言った時の蕾の微妙な表情が、また深いでんすね〜。
「大切な誰かのために何かしたい」という気持ちは、蕾にだって痛いほどわかってる。
だからこそ、蕾は大人しく天界に戻って東雲の治療を受けることになるんですが、そこで「蕾のために何かできることがある東雲」と、「第九皇子のためにも東雲のためにも何もできなかった自分」っていう対比にますます苛立ちが募ってしまう。完全な悪循環ですな。
で、ついに東雲は儀式のことを知って単身畏界へ向かおうとして、五百重が蕾に東雲を止めるように頼みにきました。その前の自暴自棄な状態から、「承知」って言って立ち上がった蕾の変化っぷりがステキすぎ。
ここでようやく蕾は東雲のためにできること、自分にしかできないこと、自分がやるべきことがある、と自覚できたのかな、と。まあ、とにかく東雲を止めにすっ飛んで行きます。
そして、すったもんだの揚げ句、ここでまたあの名独白が。
「だけどおまえが替わるなんてだめだ……そんなこと 絶対に」
第九皇子の場合は、結局、皇子どのの気持ちを汲むというか、皇子が自ら運命を受け入れることを呑んだ蕾。皇子の気持ちが固まってる以上、それを無視してまで、救い出すことはかなわなかったわけです。
こんな仮定は無意味かもしれませんが、もしも、もしも、本当に東雲が第九皇子と替わることになったりしたら、たとえ東雲がその宿命を心から受け入れて、蕾にやめてくれもういいからと言おうが何しようが、蕾は天地の理を曲げ、天神界や魔神界から罰を受けようが世界が壊れようが、東雲を無理矢理にでも救いだしてしまうのではないでしょうか。
それが「絶対に」。
そしてその前の「許さんッそんなこと!」もいいんですよね。「許せない」ではなく「許さない」。ここでも蕾の東雲に対する意識がよく現れています。感情とかあれこれ理屈は抜きに、とにかくダメ。
たとえば、小さな子供が言う「行っちゃイヤ」と「行っちゃダメ」の違いですかね。第九皇子は「行っちゃイヤ」なんだけど、東雲は「行っちゃダメ」。この場合の「イヤ」は自分ではどうにもできないけど納得はしていないという感情の表明、「ダメ」は自分の思い通りになるべき相手が自分の望まないことをしてはいけない、という一種の所有権の表明じゃないかと思うんです。
まあ、最後、五百重兄の計らいで、夢で皇子と会えることになって、蕾も皇子どののためにやれることができた。
第九皇子に慰めを与えるという自分だけにできる役割ができたことで、第九皇子のことで心を痛める東雲のためにも自分ができることがある。
それでようやく、最後の「もうやめろ。あの方はおまえが苦しむことなど望んでいない」「そして あの方もまた おまえと替わることなどできない…」の台詞が言えるようになったのかな〜、と。あれを、私の独断と偏見で超意訳すれば、「あの方のことはオレにまかせて、おまえはキチンと自分の努めを果たせ。オレはおまえが悩んだり苦しんだりしているのは見たくない。あの方が唯一であるのと同じく、おまえも(オレにとって)唯一だ」。
結局のところ、蕾の最終目的は、そういうことだったんじゃないかと思うわけです。
そして、その後、蕾と第九皇子は夢で交流を続けていくわけですが。
第九皇子に対して蕾は自分の内面を見せたり語ったりすることは決してありません。もちろん、東雲や薫や透の話をするハズもなく。それは、「知らない世界の話を吹き込んでヘタに憧れを抱かせたくない」というのもあったし、皇子どのを慰めるために訪れている自分が彼に心配をかけたり悩ませたりするわけにはいかないから。あくまでも「皇子が蕾に逢いたいと望む←蕾が慰める」という一方通行です。蕾が第九皇子に逢いたいと思うのは、少しでも慰めになりたい、一刻でもそばにいて癒してやりたいと思うから。そう想うあまりに、恋の悩みに似た症状になっちゃたりもするわけですが、蕾は第九皇子に対して癒しや安らぎや幸福感といったような恋に付随する何かを求めているわけではなく、常に一方的に「与える」側。
それは、やっぱり恋とは全くの別物だと思います。
一方の東雲は、父上に対する感情(語り「空心鳥のこと」参照)や第九皇子に対する切ない想いも見せることができる、弱みも悩みもさらけ出せて、心配かけさせたり傷つき生死をさまよう姿を見せることもできる、自分の背後を託せる最も身近な者、といえるのではないでしょうか。蕾が東雲の所に行くのは、本人に言わせれば、なんとなくとか暇つぶしとかなんでしょうが、それはやっぱり東雲がもっとも心許せる気安い相手で、心の安らぎ、のようなものを求めてる部分もあると思うんですよ。
第九皇子が侵さざるべき聖域として最も特別な者であるなら、東雲はある意味その対極に位置する『特別』。
まあ、あれですよ、よくある究極の選択。
東雲と第九皇子がピンチになってたら蕾はどっちを救うのか。
たぶんほぼ確実に、先に第九皇子を助けに行くでしょうし、東雲もそれを望むでしょう。んでも、第九皇子を先に救って安全な場所に託してそのほか守るべきものを守ってから、最後の最後は必ず東雲の所に戻るんじゃないでしょうか。
ちょうど「異寄坐」みたいな感じ。薫を四天王に任せ、妃夜の方や大鳥との決着なんて途中でほったらかしにして、東雲の所に飛んで行く蕾♪ 「禁色戒」でも東雲が畏界に囚われ単身畏界に向かう際、正装して藍士に「オレがもしものときは老伯准将に従えと皆に伝えろ」っていうのがまた。東雲を救いに行く=最悪の事態になる恐れもある、とわかっててそれでも行くんだっていう決意の台詞。
もう、これは、紛れもなく愛ですよ、愛w
第九皇子は「守るべき大切な方」。
東雲は「共に進むべき相手」で「最後は一緒」みたいな。
「呪久歌」のラスト、蕾が露冠を呼び出しいろんな人々を思い浮かべます。仲間は風仙や花士、何よりも大切な方としては錦帝と第九皇子が、さらに最後の守るべき人々の中にも透や夕姫と共に錦帝や第九皇子が入っていますが、東雲がなんのカテゴリに入ってこないのは、そういうことかな〜と。
(しかも、それを裏付けるかのように(?)「呪久歌」の表紙はらぶらぶツーショットだしw)
あれ? 薫もどこにも入ってない? えーっと…それは、まあ適当にお考えください……^^;
(2011.10.10)
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